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SAKANAQUARIUM2014"SAKANATRIBE"に行ってきた

旧ブログ(FC2)

「この感覚を、忘れないうちに、記憶が鮮明なうちに残しておきたい」と思ってから、もう3日が経とうとしている。自分で決めたポリシーとは言うものの、姿勢を正して原稿用紙に向き合うように、パソコンを開いて長文を打つのは、少し面倒くさい。パソコンしかネット環境が無かった昔に比べると、尚更そう思うようになった。12日、サカナクションの「SAKANAQUARIUM2014"SAKANATRIBE"」Zepp Tokyo公演に行ってきた。今まで僕にとってテレビの中の、ラジオの中の存在だった、憧れの彼らを、生で見る初めての機会だった。紅白にも出場し、幕張アリーナを埋めるほどの人気アーティストのライブハウス公演ということで、倍率が高いこの公演だったが、友達になんとかチケットをとってもらい、行くことができた。感謝。

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事前にアリーナツアーでのライブ映像などを見ていたので、サカナクションのライブの雰囲気はなんとなく掴めていた。しかし、アルバムツアーではなく、Zeppツアーということで、珍しい昔の曲、ファン好みのレアな選曲をしてくれる、ということを期待していながらも、自分が知らない曲(シングルのカップリングにはあまり知らない曲もあるのだ)を歌われたらどうしよう(いまいちノレないかもしれない)、という不安もあった。チケット代も少し高めに設定してあるし、これから人気がますます出てくるならチケットが取れなくなってしまうかもしれないから、最初で最後のライブかもしれない。せっかくなら、完璧に楽しみたかった。そんな期待と不安の入り混じった気持ちを抱えながら、ライブの始まりを歓迎した。オープニングは、ライブ映像で見てきた、ワクワクさせる映像ではなく、4本の白のスポットライトの下に、メンバーがお辞儀をして登場するという、いたってシンプルなもの。そしてその後、サカナクションのキーマン、一郎さん登場。ギターを持って、小さい音でフレーズを弾く。やがて、それは1曲目"サンプル"に繋がっているということに気づく。ライブアレンジだった。2曲目"アルクアラウンド"、3曲目"セントレイ"、4曲目"表参道26時"、どれもアッパーなチューンで、会場を一気に盛り上げていく。驚いたのは次の曲だった。5曲目"哀愁トレイン"。初めてのサカナクションライブであっても、その曲がレアな曲だというのは、すぐ分かった。2ndアルバム"NIGHT FISHING"に収録されている曲で、好きな曲だ。6曲目の"Klee"では、終盤に少し演奏のミスがあった。曲の終わり、客によって「エジー、どんまい!」という掛け声があったため、ドラムの江島氏のミスのように感じられてしまったが、実際は一郎さんのギターのミスである、ということをアンコール前のMCで自ら告白し、「濡れ衣を着せられた」と笑って話していたのが、微笑ましかった。

7曲目は"エンドレス"。「DocumentaLy」に収録されている名曲。<誰かを笑う人の後ろにもそれを笑う人/それをまた笑う人と/悲しむ人>、ネットを題材にしたこの歌詞はとても強烈的に響いた。8曲目は"シーラカンスと僕"と、これもまた少し珍しい選曲。深夜に深い海に潜っているようなイメージの曲で、大好きだ。9曲目は"流線"。独特の浮遊感と、彼らの演出の武器である「オイルアート」がよくからみ合う。10曲目は、最新シングルより、"ユリイカ"。モノクロの都会の風景(お台場駅の写真もあった)がスクリーンに映された。そして、11曲目に"『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』"、ここからどんどん会場を踊らせていく。"インナーワールド"、"三日月サンセット"、"モノクロトウキョー"全てダンスミュージックになってしまうのだから面白い。カラフルな照明もクラブを意識しているようで、本当にそこは一瞬で、みんなが横ノリで踊りまくる、ダンスホールという言葉がよく似合う場所になった。「みんな、まだまだ踊れる?」の掛け声の後に続いたのは"夜の踊り子"。そして、"アイデンティティ"、"ルーキー"。生で見る緑のレーザー光線は、カッコよかった。ヘトヘトになるまでジャンプし、踊り、たくさん汗をかいた。

アンコールに突入すると、前アルバムツアーの幕張公演で行っていたような、DJセットを使って、本編終盤のノリに拍車をかけるかのように"Ame(B) Remix"がスタート。その後、"ミュージック"、"Aoi"とアッパーな曲がさらに続く。そして、ここで特に印象的だった、結局これまでもこの先も1回しかなかった一郎さんによる「アンコールありがとう」のMCが入る。笑いをまじえながらメンバー紹介やグッズ紹介をしていき、ライブでどのようなことを体験して欲しいか、を具体的に照明や映像を使いながら、話していた。例えば、生音とスピーカーから出る音の違い。彼らがライブにおいて最も大事な役職と称賛する、PAと連携をとり、迫力の違いを示した。また、"流線"で使われた「オイルアート」も再演したり、ボーカルにディレイをかけるとピンクの照明を当てるとどのようなイメージを作り出すことができるか、という実験のようなことも行っていて、見ている側としても納得させられた。ライブには色々な役割の人が最高の環境を提供するために、努力しているということを体現化していた。また、今回のライブのテーマ「0.100」(この表記で合っているか分からないが)についても触れた。アンコール1曲目の"Ame(B) Remix"の構成(最初は、ドイツの地下クラブのイメージ(アンダーグラウンド)だったのが、どんどん楽園のようなイメージ(オーバーグラウンド)になっていく)がそれをよく表していたらしい。また、1曲目の"サンプル"で、だんだんボリュームを大きくしていく(生音からスピーカーの音に綺麗に繋げていく)演出は、このテーマあってのことだそうだ。そして、2013年のサカナクションが、アンダーグラウンドとオーバーグラウンドを泳ぎ回ったと振り返り、「まだ音楽を知らない若者たちを自分たちのライブに連れて来ることが2014年の目標」という宣言をした。自分たちの音楽で素晴らしい体験をさせる自信あっての宣言だろう、とてもかっこよく見えた。最後の曲、"グッドバイ"。とても力強く感じられたし、このライブの中で一番心に響く曲だったかもしれない。<どうだろう/僕には見ることができない/ありふれた幸せいくつあるだろう/どうだろう/僕には見ることができない/ありふれた別れもいくつあるだろう>。雑誌で、この曲が、一郎さんが制作に煮詰まった時に、どうしてもにじみ出てしまった想いが詰まった曲、どうしてもシングルのA面曲として世の中にこのタイミングで出したかったという曲、だということを知っていたから、このMCのあとだったから、もう涙が出そうになった。今までのダンスホールが嘘のように見えるくらい、しっとりとライブは幕を閉じた。

今回のライブ、最後の"グッドバイ"で、特に感じたのは、サカナクションの詞の力強さだった。よく描かれている時間は、夜から朝にかけてが多いのだけれど、別にそれ以外の時間に聞いても似合わないわけではないし、その全ての曲が全て違うことをサカナクションは描いている。メディアでは、サウンド作りに妥協を許さない、音楽に真摯に向き合う姿勢が注目されがちだけれど、一郎さんが一人で部屋に閉じこもって、難産の上に生まれてくる詞も、とても尊いものであることに気づかされた。そして、ユーザーが音楽と触れ合う、音、歌詞、ライブ、メディア出演、どの面においても妥協を許さない、サカナクションは本当に偉大なバンドであると、再認識させられた。本当に、最高の音楽体験になった。ありがとう、サカナクション